株式会社クリフ

第17回研修 ふくしま農商工連携マーケター養成

2011年12月3日

プレゼンテーション演習「プレゼンテーションとは」
講師:富士通株式会社 品質保証本部長 増田 実夫 氏
10:30~10:45

「プレゼンテーション」という言葉の意味、目的、スタイルや方法、要諦について解説。特に、聞き手の反応を左右するのにもっとも大きなカギとなるのは、プレゼンターの立ち振る舞いである。聞き手が一番初めに受け取るのは視覚的な情報であり、そこで受けた印象はその後のコミュニケーションの働きにも作用する。プレゼンテーションは、プレゼンターの一人語りでは成り立たない。相手と視線を併せながら、まずは話し手側の「伝える」姿勢を整える必要がある。
より効果的に伝わる話法の要点は、結論からのスタート、具体的数値・事例を挙げながらの説明、誰にでもわかる言葉の選択である。また話の起承転結の中で、提起する問題点への危機感、および提案する策によって得られるであろう問題解決への展望を、話し手と聞き手との間で「共有」することができれば、聞き手にとって実行へのより強い後押しとなる。
プレゼンテーションスキルの向上にもっとも有効なのは実践。例えば今日あったことを家族や知人に話してみる。これも一種のプレゼンテーションであるし、もっとも身近にある実践の場でもある。
事例から学ぶことは数多くある。それをただ単に真似るのではなく、自分が果たそうとする目的とそのための課程にどのように応用していくか、具体的な自流のビジョンを持つことが必要である。また、それを確実に実行することが重要。

プレゼンテーション演習・事例「起業への想いと今後」
補助講師:株式会社クリフ 代表取締役 石山 純恵 氏
10:45~11:45

現在経営者である講師が、会社を設立する決意に至るまでの経緯、起業から現在の事業スタイルを形作るまでを、自らの体験を交えながらプレゼンテーションを行った。
アテネへの旅行・海外生活を通じた、言語というもっともベーシックなコミュニケーション方法との出会いから、同氏の起業への道のりが始まる。国際結婚、仲間や夫婦での起業、離婚を経て現在の会社設立に至る。
起業当時、同氏には事業の確たる枠組みがあったわけではなかった。しかしながら、人と人とのコミュニケーションを柱に地域に貢献したいという強い思いがあった。その思い、会社設立までの経験を、企業者同氏の集まりで、大学で、行政改革アドバイザーに就任してからは行政の場でも、あらゆる方面に向って伝え、それを営業活動としていた。多くの場で発言してきた自らの主義、方向性、強みに賛同を示した人―それが企業に属する者であるかどうかに関わらず、そのつながりから得た依頼を自分のイメージするビジネスモデルに落とし込みながら現在のビジネススタイルを形作ってきた。
ビジネスプランは大切。しかしながら、現在進行中のさまざまな局面で状況判断し、その都度軌道修正していく柔軟さも必要。行動しなければ、失敗も成功もしない。しかし行動が伴えば、失敗することもあるが成功もする。さまざまな失敗と成功を重ね、今がある。ビジネスのみにとどまらず多くの仲間ができ、より多くの人に多様な情報発信ができるようになった。行動の結果が成功であれ、失敗であれ、無駄なことは一つもないと言明できる。

ロールプレイング「プレゼンテーション①②」
講師:国立大学法人 福島大学 教授 西川 和明 氏
13:00~16:30

経営の原則をH(人的資源)、I(イノベーション=技術革新)、M(マーケティング)であるとしたうえで、寒天を使った食品加工、レストランの運営等を行っている「伊那食品工業(株)」の成功事例を分析。同社の経営の核となっているのは、永続的な経営を見据えた企業理念の確立と共有、社員・顧客・取引先の重視、自社が扱うすべての商品・サービス・情報に対するクオリティーの追及、研究・開発体制の強化・維持である。
こうした取り組みが、的確なSWOT分析を可能にし、自社の経営資源から安定した寒天の市場を形作ることとなった。
講義後、現在の福島の市場環境をSWOT分析したうえで、グループごとに新たなビジネスプランを考案しプレゼンテーションを行うロールプレイング演習を行った。
(以下、グループA~Gそれぞれによるプレゼン内容)

A班.「県産品を使ったゆで葉物野菜の冷凍食品開発」今日の健康志向、共働き家庭・世帯の高齢化・介護需要の増加を鑑み、安全な素材で調理時間を短縮できる加工食品を提供する。農薬を極力使わない安全性、地元野菜をすぐに加工すること保たれる鮮度が特長。加えて、生産者と消費者が身近になることにより、農業者・加工業者双方の作業意欲の向上も期待できる。

B班.「岳温泉観光活性化プロジェクト」岳温泉の観光資源を活用し、全国から集客できるような地域の整備。全旅館を挙げての地域特産品、各旅館の個性のPR。単発ではなく継続的・一体的なイベントの展開。ディズニーランドを例に、リニューアル、新しい商品・サービスを開発。「安達太良」、「智恵子」等、よりネームバリューの高い名称の起用。

C班.「フクガールプロジェクト」戦前・戦後を力強く生き抜いてきた女性から成るメンバーが中心となって、地域復興を推し進めるというストーリー作り。郷土芸能に携わる者(パフォーマー)とともに、各都道府県に派遣・配置し、福島の安全な食材をPR。メンバーが配置する全国各地の名産品とのコラボ商品の考案。

D班.「放射能教育ツアー」原発事故により、福島は今後放射能に関する研究モデルの最先端地区として、研究・教育の拠点となることを想定している。本プランでは、高校生以上の教育課程の一環として、または放射能についての正しい知識を求める一般希望者を対象とし、学術機関などと連携したツアーを実施。講座や線量測定などの実地教育のほか、県内の観光名称等を巡り、本来の福島の魅力をPRし風評被害の克服を目指す。
事業費は、全世界から募る参加者による費用負担、補助金、旅行会社の協賛によってまかなう。

E班.「温泉水を利用した水産物の養殖」原発事故によって減少した水産資源を、温泉を利用して再生させる取り組み。具体的な商品としては、年間を通して高値で高付加価値、安定した売り上げが期待できるフグやウナギ。これらを温泉水を利用して養殖することにより、漁師の再雇用、廃業旅館の再利用および観光資源の創出を図る。

F班.「屋台村の設立とイベント開催」出店者を募り、県内各地の郷土料理が食べられる屋台村を設立する。出店条件としては、地元の食材、伝統工芸などによる食器を用い、旬の素材を使った季節ごとのメニューを提供すること。各店ごとにその土地の魅力や豆知識などを来店客に伝えることで、情報発信にストーリー性を加味する。この屋台村を舞台に、ご当地料理ランキング、食べくらべ、ゆるキャラサミットなど、定期的なイベントの企画・運営をしていく。

G班.「福島の観光資源を利用した地域活性策」土湯、四季の里、アンナガーデン等、福島市東部の観光資源を活用した地域活性。福島の観光地が抱える課題として、交通の不便および観光業者同士の連携がないことが挙げられる。まずは事業者による協議会を設立し、協力・連携体制を強化する。こうしたうえで、各宿泊施設等が所有するマイクロバスの配車、また民間タクシー業者との提携により、観光客の交通手段を確保。従来の循環型のバスではなく、オンデマンド型の配車に輸送の効率化を図る。放射線量を毎日測定し、数値によって安全性をPR。また、ボランティア団体と協力し、県内の子どもたちと都市部の子どもたちが一緒に遊び、交流できるツアーを企画する。