株式会社クリフ

第16回研修 ふくしま農商工連携マーケター養成

2011年11月19日

食品衛生・表示等「加工食品の品質表示基準」
講師:伊藤行政書士事務所 代表・食品衛生コンサルタント 伊藤 伸史氏
10:30~12:00

加工食品の品質表示基準について解説された。品質表示基準において、加工食品は25種類に分類される。必要な表示事項①名称、②原材料名、③内容量、④消費期限又は賞味期限、⑤保存方法、⑥製造業者の6項目ある。
中でも④「消費期限又は賞味期限の表示方法」は、年月日の表記規定に従う必要がある。まず「製造又は加工した日から消費期限又は賞味期限までの期間が3ヶ月以内のもの」は、ⅰ.平成21年4月1日 ⅱ.21.4.1 ⅲ.2009.4.1 ⅳ.09.4.1のいずれかの方法で記載する。また、「賞味期限までの期間が3ヶ月を超えるもの」についても同様であるが、年月のみの表記で構わない。なおⅱ~ⅳの場合、年月の間の「.」の印字が困難な場合は省略可。この際、月又は日が1桁のときはその前に「0」を記載すること。(例:賞味期限 2009.4.1→20090401)
また、品質表示基準は食物の生産・加工・流通環境や消費者の要望に従って、随時改正されていくものである。コンサルタントの経験からの事例を多く上げ理解しやすい講義だった。

人と組織「人と組織 ファシリテーションをつうじた創造の場づくり」
講師:国立大学法人 福島大学准教授 上野山 達哉氏
13:00~14:30

ファシリテーションを通して、アイディアを引き出し、新たなものを創造していく人対人の意思疎通、対話のプロセスについて解説。ファシリテーションの構造としては次の5つのステージがある。すなわち、狭義のファシリテーション、広義のファシリテーション、チームマネジメント、リーダーシップ、プロセスコンサルテーションである。
「チームマネジメント」とは、多様性を活用し相乗効果を発揮することで、コンフリクト(意見の相違)をプラスに変えること、「リーダーシップ」とは、ゴール(目標)を設定しそこへ至るまでのプロセス(道筋)を描くことである。「プロセスコンサルテーション」とは、こちらからアイディアを提示するのではなく、アイディア創出の過程に自ら取り組ませる、例えれば、魚を釣って差し出すのではなく、釣り方を考え出してもらうといった方法である。
講義中に、2つのミニエクササイズでロールプレイングを行った。2人1組で、社内の異なる立場の2者間での従業員の昇給に関する議論(ミーティング)と、自社の製品に不良品があったと想定し、それぞれ問題の当事者の従業員とその上司の立場で話し合いをする演習である。
講義・ミニエクササイズを通して、対話者との価値観の相違をどう捉えるか、どう対応するかによって、その結果がネガティブにもポジティブなものにもなり得ることが理解できた。

ブランド戦略「販売開拓 農産物のブランド化における知財戦略」
講師:特許業務法人 創成国際特許事務所 所長 酒井 俊之氏
14:40~16:10

知的財産のビジネスにおける役割、しくみ、活用戦略などについて解説。第一に、情報発信は短期的な営業力の強化に有益なのに対し、知財の活用は中長期的な事業競争力の強化に有効であることが示された。独自のブランド(デザイン・ネーミング・マーク)を持つこと=知財化することにより、消費者により効果的に自社商品の良さを知覚させ、自社事業の領域から他社を排除、優位性を確保することができるからである。このことが、競争資源の知財化の必要性でもある。
また知的財産権制度の全体構造について、桃の箱のデザインを事例に「産業財産権の実用新案件」、「特許権」、「商標権」、「意匠権」の4つを説明。知的財産権の種類には、以上の4つのほか、「著作権」、「回路配置利用権」、「育成者権」、「営業秘密」、「商号」、「商品表示・商品形態」も含まれる。
知財を保護する特許制度の活用戦略では、「ヘルシア緑茶」の事例をもとに、目指す市場の設定から商品化・ブランド戦略までの流れを解説。同商品の成功要因として、目指すべき市場を実現するための具体策の設定、「マーケティング・ミックス」が挙げられる。この具体策は「4P」で表されるが、この4Pとは「製品(Product)」、「流通(Place)」、「価格(Price)」、「プロモーション(Promotion)」である。
総括としてブランド戦略とは、他社製品(サービス)と差別化、消費者アピールの工夫、市場の明確な設定、4Pによるマーケティング・ミックスの実践、特許による保護である。今後、新商品を創出しブランド戦略を構築していくうえで価値のある講義だった。